2012年04月18日

ギャンブル障害 DSM-5Draft

 いわゆる「ギャンブル依存症」と呼ばれているものは、診断基準DSM-IVでは衝動制御の障害のグループの中で「病的賭博(Pathological Gambling)」の名で扱われています。これが新しく作られつつあるDSM-5の草稿を見ると、アルコール依存症などと同じ「アディクション」のグループとして「Gambling Disorder」の名で扱われることになりそうです。「ギャンブル障害」あるいは「賭博障害」と日本語訳されるのでしょうか。分類や名前が変わっても、診断基準はほとんど一緒で、ギャンブルのための違法行為の項目が削除されるだけの様です。

Gambling Disorder(DSM-5草稿)
次の5項目を満たす。
1 賭博へのとらわれ
2 興奮を得るべく掛け金の増額
3 減らす・やめることの失敗
4 減らしたりやめたりすると落ち着かない、または苛立つ
5 不快気分の解消目的の賭博
6 損失を深追いする賭博
7 賭博ののめり込みを隠す嘘
8 賭博で人間関係・職・学業に危険が生じた
9 賭博で困り人に金を求める
そして、これらは躁状態によるものではない。

以上、一言にまとめて列挙したもので、正確な表現はDSM-5そのものを参照して頂くか、DSM-IVの「病的賭博」を参考にしてください。

そして、患者さん自身、あるいはそのご家族につけて頂くために、DSM-5に沿った質問票を自分なりに作ってみました。
GamblingDisQuestionnaire.pdfpdf_middle.gif
ご自分でつけてみるのもいいでしょうし、外来などで使ってみるとギャンブルにはまってしまっている人がみつかるかもしれませんね。
posted by ぷしこノート at 18:55| 診断基準 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月17日

心的外傷後ストレス障害(PTSD) DSM-5Draft

DSM-5草稿のPTSD、すなわち心的外傷後ストレス障害の診断基準につき、私なりに日本語訳してみました。
DSM5_2012Apr17.pdfpdf_middle.gif


心的外傷後ストレス障害 Posttraumatic Stress Disorder(PTSD) DSM-5診断基準の草案

A. その人物が、死ぬ、または危うく死にそうになる、または実際に重傷を負う、または危うく重傷を負いそうになる、または実際に性暴力に遭う、または危うく性暴力に遭いそうなるような出来事に、以下の1つ以上の方法で暴露される。
1. その人自身がその出来事を経験する。
2. その出来事が他の人に起きるのを目撃する。
3. 近い親族や近しい友人に起きた出来事について知った。;暴力や事故で、実際に死んだか死にそうになったというようなことについて
4. 嫌悪するような出来事の場面に、繰り返しまたは非常に強く暴露される。(例、体の部位を集める作業に最初にとりかかった人;児童虐待の場面に繰り返し暴露された警察官);これは関連して作用するものでなければ、電子的なメディアやテレビ・映画・絵を通して暴露されたものには適応しない。

B. 以下にの1つ以上によって示される、その外傷的な体験に関連した侵入的な症状(それはその外傷的な体験の後に始まっている):
1. 自然とわき起こる、またはきっかけにより再燃する、または不随意の、侵入的で不快な、その外傷的な体験の回想。注:小さい子どもの場合は、その外傷的な体験の主題や一面を表現する遊びを繰り返すことがある。
2. その出来事に関係した内容そして/または感情を含んだ反復的で苦痛な夢
3. その人がまるでその外傷的な出来事が再び起こっているかのように感じるか行動する解離性反応(例、フラッシュバック)(そのような反応は一連のものとしてしょうじ、その極度に強いものは現在の境遇に対する意識を完全に失う形で生じる)注:小さな子どもの場合は、遊びの中で外傷に特異的な物事が再演されることがある。
4. その外傷的な出来事の状況を象徴する、またはその外傷的な出来事の状況に類似した、内的または外的きっかけに暴露されて生じる強いまたは延長された心理的な苦痛
5. その外傷的な体験を想起させるものへの著しい生理学的反応

C. その外傷的な出来事に関連した刺激の持続的な回避(それはその外傷的な体験の後に始まっている)以下の1つ以上によって示される回避の努力によって確認される。
1. その外傷的な体験を想起させる内的な物事(思考や感情や身体感覚)を避ける
2. その外傷的な体験を想起させる外的な物事(人物や場所、会話、活動、物、場面)を避ける

D. 以下の3つ以上で確認される、その外傷的な出来事に関連した、感情と認知の否定的な変化。(それはその外傷的な体験の後に始まったか悪化している): 注:小さな子どもの場合は2つ以上で確認される。
1. 外傷的な出来事の重要な場面の想起不能(典型的には解離性健忘;頭部外傷やアルコールや薬物によるものではない)
2. 自己や他者や世界に対する、持続的で誇張された否定的な考え(例「私が悪い」「誰も信頼できない」「私の魂は永遠に失われている」「私の神経系は永久に壊れたままだ」「世界は全くもって危険だ」)
3. その外傷的な出来事の原因や結果についての、持続する歪められた自己または他者に対する批判
4. 広範で否定的な感情状態……例:おびえや恐怖、怒り、罪悪感、恥ずかしさ
5. 重要な活動への関心または参加の著しい減少
6. 他者から孤立または疎遠になっているという感覚
7. 肯定的感情を経験することの持続的な困難(例、愛の感情を持つことの不能)

E. 以下の3つ以上で確認される、外傷的な出来事に関する刺激の受け方と反応の変化。(それはその外傷的な体験の後に始まったか悪化している)
1.怒りっぽい、または攻撃的な態度
2.向こう見ずな、または自己破壊的な行動
3. 過度な警戒
4. 過度な驚愕反応
5. 週忠困難
6. 睡眠障害……例、入眠または睡眠維持の困難や睡眠の不安定性

F. 障害(基準B・C・DおよびEの症状)の持続期間が1ヶ月以上

G. 障害は、臨床上著しい苦痛、あるいは社会的または職業的またはその他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

H. 障害が物質(例、薬物治療やアルコール)や一般的身体状態(例、外傷性脳損傷や昏睡)の直接的な生理学的作用によるものではない。

該当すれば特定せよ:
a) 発症遅延:その出来事から6ヶ月間以上経つまで診断基準を満たさなかった場合(ただ、いくつかの症状が始まる時期はそれよりも早いこともある)
訳 @Psycho_Note


posted by ぷしこノート at 19:30| 診断基準 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月09日

解離性同一性障害 DSM-5 Draft

DSM-5草稿の解離性同一性障害、いわゆる「多重人格」の診断基準につき、私なりに日本語訳してみました。今後を見通した診療の参考にして頂ければ幸いです。
DSM5_2012Apr09.pdfpdf_middle.gif


解離性同一性障害 Dissociative Identity Disorder DSM-5診断基準の草案

A. 自我意識・認知・行為・知覚そして/または記憶が途切れることで示される、2つ以上のはっきりと他と区別されるパーソナリティ状態あるいは取りつかれた体験で特徴づけられる同一性の分裂。

B. 日常的な出来事あるいは外傷体験についての、重要な個人情報の想起が不能であり、それは普通の物忘れでは説明できないほど強い。

C. 臨床的に著しい苦痛、あるいは社会的または職業的または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

D. この障害は、広く受け入れられている文化や宗教の慣習の一部分として正常なものではなく、物質(例:アルコール中毒時のブラックアウトや混乱した行動)または他の一般的身体疾患(例:複雑部分発作)の直接的な生理学的作用によるものではない。注:子どもの場合、その症状は、想像上の遊び仲間または他の空想的遊びに由来するものではない。

該当すれば特定せよ
a) 非てんかん性の発作や転換症状を伴うもの
b) 同一性に応じて変化する身体症状を伴うもの(aで特定したものを除く)
訳 @Psycho_Note


【ノート】DSM-IVから大きくは変わっていません。より厳密に定義しようとする試みが感じられます。

posted by ぷしこノート at 18:40| 診断基準 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする