2017年06月29日

妊娠中のバルプロ酸

バルプロ酸は、気分安定薬や抗てんかん薬として臨床ではよく用いられる薬です。このバルプロ酸、妊婦にはオススメできません。

妊娠中に1,000mg以上のバルプロ酸を服用していると、そのときの児が3歳になったとき、IQが10以上低くなるといいます(Maedor et al., 2009)。このとき、低用量の低用量のバルプロ酸では低下は目立たず、カルバマゼピンの影響は少ないようであり、ラモトリギンの影響はほぼみられなかったといいます。

また、一般的には1万人に6人ほどの割合で生じる神経管閉鎖不全(二分脊椎や無脳症)が、妊娠第T期のバルプロ酸服用下で出生した児では1.5%に生じるといい(Lindhout & Schmidt, 1986)、バルプロ酸の使用で二分脊椎のリスクは12.7倍になるといいます(Jentink et al., 2010)。

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妊娠の可能性がある若年女性のバルプロ酸の使用は避けた方がよく、使用するとしても量は少ない方がいいようです。ただ、バルプロ酸の摂取で葉酸が低下するといい(Karabiber et al., 2003)、一般的に妊娠の際、葉酸を摂取していると二分脊椎のリスクは低下するといい(MRC Vitamin Study Research Group.1991)、もしバルプロ酸を使わざるをえないのであれば、前もって十分な葉酸サプリメントを併用しておくべきでしょう。


『気分障害ハンドブック』p.179-80でも、二分脊椎のリスクにつき扱われており、参考になります。バルプロ酸の二分脊椎のリスクは、精神科専門医試験にも繰り返し出題されている重要な事項です。

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2017年06月17日

心理教育の目的 医療系の学生からプロまで

心理教育とは、Andersonらにより『分裂病と家族』で提唱された、統合失調症につき患者本人や家族に説明するものから始まり、精神障害などの受容しにくい問題を持つ人たちに、正しい知識や情報を心理面への十分な配慮をしながら伝え、病気や障害の結果もたらされる諸問題・諸困難に対する対処方法を修得してもらい、主体的な療養生活を営めるよう援助する技法です(心理社会的援助プログラムガイドライン)。精神医療では、様々な精神障害が対象となりますが、やはり最もよく語られているのが統合失調症に対するもの。そんな心理教育の目的について、統合失調症を中心に挙げてみましょう。

【インフォームド・コンセントの一部として】
インフォームド・コンセントの要素、「医療者による説明」「患者の理解」「患者の自由意思による同意の決定」の3つのうち2つ、すなわち医療者が説明し患者に理解を得る点が心理教育に含まれています。

【治療への動機づけを強めるため】
患者さんも「薬を続けろ」と言われただけで、薬物治療を続けようと十分には思えないもの。なぜ薬を続けた方がいいのかを理解してこそ主体的に治療を継続できることでしょう。実際、心理教育を受けた人の方が、治療を適切に継続できていたといいます(Xia et al., 2011)。

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【病識を強めるため】
身体の病気と違い、精神障害はしばしば自分では病気について気づきにくくなるものです。自分の何が病気の症状なのかを知ることは大切なことです。また、病気について適切に知ることは自らの病気のスティグマを軽減するといいます(Uchino et al., 2012)。

【症状を外在化するため】
自らに起きる心の変化について、病気の症状と客観的に理解することを促しすことができます。「死にたい」と思うより「希死念慮が出た」と思える方が、「電波で命令されている」と思うより「幻聴が聴こえている」と思う方が、その症状の行動化などの問題を減らし、症状による苦痛を減らし、認知の変化の余地を与え、症状自体を軽くする可能性もあります。

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【再発/再入院を減らすため】
これまでに挙げた様々な要素による結果として、再発や再入院を減らすことができるといいます(Xia et al., 2011; Zhao et al., 2015)。


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