2017年03月19日

抗うつ薬で困るプロドラッグ ブログで授業(プロ向き)

プロドラッグとは、それ自体には薬効が無く、代謝されることで薬効を持つようになる薬のことです。そんなプロドラッグの中、肝酵素チトクロームP450(以下、CYP)の2D6で代謝されて薬効が得られる薬としてタモキシフェンとトラマドールが挙げられます。

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タモキシフェンは乳癌の治療薬ですが、CYP2D6を阻害されると活性代謝物が極端に減ってしまい、乳癌の治療が成り立たなくなります。実際、CYP2D6を強力に阻害するパロキセチンの併用で、タモキシフェン治療中の乳癌患者の死亡リスクが上がったといいます(Kelly et al., 2010)。

疼痛に使用されるトラマドールも、CYP2D6を阻害されると疼痛を抑える活性代謝物が減ってしまいます。そのためトラマドールは、CYP2D6を強力に阻害するパロキセチンの併用により鎮痛効果を失うといいます(Laugesen et al., 2005)。そして、未変化体であるトラマドールそのものにセロトニン再取り込み阻害作用があり、パロキセチンの併用によりトラマドールの未変化体が過剰に蓄積しセロトニン症候群が生じた例の報告もあります(Park et al., 2014)。トラマドールの使用中にはパロキセチンを併用しないよう注意が必要です。

CYP2D6を強力に阻害するパロキセチンと、CYP2D6により活性が得られるプロドラッグであるタモキシフェンとトラマドールについて、精神科や癌の専門家は知っておくべきでしょう。

3分間で解説していみました。
ラベル:うつ病
posted by ぷしこノート at 16:34| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする