2017年04月27日

双極性障害の自殺リスク ブログで授業(プロ向き)

 双極性障害の人は、年に0.4%が自殺で亡くなるといい(Tondo et al., 2003)、一般人口の20-30倍の自殺リスクといい(Tondo et al., 2003; Pompili et al., 2013)、双極性障害の15-20%が最終的に自殺で亡くなるといいます(Pompili et al., 2013)。

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 自殺念慮はうつ病にも存在しますが、「自殺」「自殺企図」「希死念慮」のいずれも、うつ病よりも双極性障害の方が多く(Tondo et al., 2007)、自殺企図歴のある抑うつ状態の患者を診たとき、その7割は双極性障害といいます(Inoue et al., 2015)。

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 双極性障害は気分安定薬を用いた治療が重要なのは言うまでもありません。長期間のリチウムの使用は自殺リスクを5分の1に減らすといいます(Baldessarini et al., 2006)。それも、早くに気分安定薬による治療を開始した方が自殺リスクは少ないといいます(Altamura et al., 2010)。さらに、長期的なスパンだけでなく、短期間でも気分安定薬(リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピン)が自殺リスクを7分の1〜10分の1ほどに減らしたといい(Tsai et al., 2016)、水道水中のリチウム濃度が高いほど自殺率が低かったといい(Ohgami et al., 2009)、気分安定薬には双極性障害の治療効果とは別に、自殺リスクそのものを下げる力があるのかもしれません。過量服薬に及べばリチウム自体が致死的になることには注意が必要ですが、自殺リスクには積極的に気分安定薬の使用を検討すべきでしょう。
posted by ぷしこノート at 08:51| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする