2013年11月08日

うつ病の運動療法

うつ病を治療する際、抗うつ薬がその主役ですが、運動もするとなお良いことが分かっています。これはランニングなどの有酸素運動のみならず、筋力トレーニングなどの無酸素運動でも明らかな差はなく、どちらも有効。

運動がうつ病治療の効果を持つ理由はいくつか考えられています。BDNF(脳由来神経栄養因子)が脳で増えると、うつ病が良くなることが分かっており、抗うつ薬で治療効果が上がったときには脳でBDNFが増えていることも分かっています。そして、運動をすることにより、脳内のBDNFが増加することも分かっています。運動は、抗うつ作用を持つのです。

また、多くの抗うつ薬の主な作用は脳のセロトニンに対するもの。運動でも、脳内のセロトニンが増えることも分かっています。運動で生じる遊離脂肪酸がアルブミンと結合していたトリプトファンと置換され、遊離トリプトファンが増えます。また、運動をすると、筋肉でBCAA(分岐鎖アミノ酸)がエネルギーとして消費され、血中のトリプトファン等のAAA(芳香族アミノ酸)の比率が上がります。血液中から脳へのアミノ酸の移行は競合しており、比率が上がったトリプトファンなどがより多く脳に移行します。これが脳でセロトニン(やメラトニン)に変化し、うつ病を改善させると考えられています。



うつ病の治療の際には、運動も併用するといいでしょう。ウォーキングやランニングでもいいでしょうし、スクワットや腹筋運動などの筋力トレーニングでも、運動習慣をつけるといいでしょう。

うつ病では億劫感が強まることは多く、自発的な運動が難しいこともあります。そんなときには、電気刺激で筋肉動かすEMS(アブトロニックの類)や、座っているだけで運動効果が得られる器具(ジョーバの類)は自発的な意思が無くとも運動効果でき、うつ病効果が得られると考えられます。

うつ病の治療の際には、薬物治療と並行して、できるのであれば何らかの運動を取り入れたいものです。






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2013年10月27日

アルツハイマー病にココナッツオイル

認知症食事療法と言えば、様々なビタミンを十分に摂るべく野菜・果物を豊富に摂り、ω3不飽和脂肪酸であるEPAやDHAの類を摂るべくを食べ、お茶をよく飲むこと、そこまでが医学として妥当性が十分に検証され一般的に薦められるものです。サプリメントとしてイチョウの葉エキスが売られており、その効果の有無のついては議論の余地はありますが、試してみる価値はあるでしょう。そして、お茶のアミノ酸のテアニンのサプリメントは、まだ実証が不十分ですが、イチョウの葉エキス以上の期待をしていいだろうポテンシャルを持っていると私自身は確信しています。

そんな中、アルツハイマー型認知症ココナッツオイルが良いと薦めている本があります。調べれば、ラットの実験でココナッツの成分を摂取することによりアルツハイマーで生じるアミロイドβ等が減ったとする報告は見つかりました。しかし、医学の世界でまだ一般的とは言い難いこと。ただ、本の内容自体は十分に説得力のある内容であったので簡単に紹介しましょう。



よく糖尿病を語る上で登場するインスリン、血糖を下げるホルモンと知られていますが、正確には血液中の糖分を細胞の中に引きこむホルモンです。このインスリンへの反応性がアルツハイマー型認知症の頭では下がっていることが分かっています。そして、この本では、血液中から糖分を引き込みエネルギー源として使用できなくなったアルツハイマー病の脳細胞に、糖分の代わりのエネルギーとなるケトンを与えることによって脳機能を回復させることができると説明しています。脳にケトンを与える上でココナッツオイルが良いとこの本では薦めています。この本の著者は医者です。アメリカの小児科医ですが、比較的早くに認知症を発症して思い悩む中、情報を集める中でココナッツオイルにたどり着いたとのこと。

 

本の中でも紹介されていますが、ココナッツオイルのサプリメントは存在しますが、摂取すべき量からすると高価であり、ココナッツオイルそのものを買う方が現実的でしょう。10〜20g/日の摂取を目指したいとしています。ただ、下痢傾向には注意。そのまま飲むのも無理ではありませんが、料理に使う方が現実的かもしれません。クックパッドで検索すればココナッツオイルを用いたレシピが沢山得られます。お試し程度に、まずはトーストに用いるだけでもいいかもしれません。また、オイルばかりと言わずココナッツ関連であれば効果は期待でき、ココナッツのお菓子を食べるのも有意義なことでしょう。



著者の夫、そしてその話を知りココナッツオイルを試した人たちからの反響で本は構成されており、大規模な研究が行われているわけではありません。ですから、医学界で認められている内容ではありません。ただ、自分がアルツハイマー型認知症の始まりであったならば、あるいは家族がアルツハイマー型認知症であったならば、ココナッツオイルを食事に取り入れてみたいと、少なくとも個人的には、そう思える内容でした。少なくとも試す価値はあるだろうと。もし、これにより効果が得られる人が出てくるとしたら嬉しいことですね。
posted by とある精神科医 at 21:53| Comment(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月29日

睡眠に効くアミノ酸

睡眠に効果のあるアミノ酸のサプリメントとして、グリシンとテアニンの2つが考えられます。この2つについて機序も含めて考えてみました。

アミノ酸のグリシン、これを寝る前に沢山摂取すると睡眠を促すといいます。グリシンは、記憶・学習に関わるNMDA型グルタミン酸受容体に作用します。そして同時に末梢では入眠時の熱放散を促し深部体温を下げます。眠くなると手が温かくなるあの現象です。これを多く摂取することで睡眠への効果が得られます。非必須アミノ酸であり、当たり前に体内に存在しているアミノ酸です。グリシンのサプリメントの摂取により、寝入るまでにかかる時間(入眠潜時)が短くなり、深睡眠の時間が増え、全体的に睡眠の質が向上したといいます。



お茶に含まれるアミノ酸のテアニンは、グルタミン酸に類似した物質でありNMDA型グルタミン酸受容体に作用し、中途覚醒が減少し睡眠効率が改善し、起床時の疲労回復感や睡眠時間延長感も改善したとする報告があります。また、脳由来神経栄養因子(BDNF)を増やすことも期待でき、さらに睡眠中に起きやすい一時的な脳虚血から脳神経を保護することも期待できます。

posted by とある精神科医 at 19:38| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月08日

スピーチ技術評価尺度(SSRS)

スピーチを評価するとき、その内容ばかりに注意が向きがちです。しかし、大切なのはどんな内容どのように伝えるのか、内容話し方の2つです。そんな話す技術を評価する基準を作りました。

スピーチ技術評価尺度(SSRS).pdf

他の人のスピーチを評価するのも、自分の話し方を振り返って技術を高めるのも有意義。また、主に沢山の人に話すのがスピーチですが、相手が一人でも話す技術が大切なのは同じこと。人前で話す機会が無くとも、話す技術は高めておきたいものです。
タグ:話し方
posted by とある精神科医 at 13:35| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月28日

認知症予防の生活習慣(食事・サプリメントなど)

認知症の方を外来で診る際、薬ばかりが薦められたものではない。生活の指導も重要だ。そこで、食事・サプリメント・生活習慣で特にオススメできるものを一枚の紙にまとめ、外来でお渡しできるようい用意した。皆さんの参考になれば幸い。ほとんどの人は高齢になってから認知症予防に取り組むが、認知症の予防は高齢になってから始めるものではなく「高齢になるまでに」取り組みたいもの。若いうちの今から果物や魚や緑茶の摂取を心がけたい。

認知症予防の生活習慣.pdf

認知症を防ぐ食品・サプリメント・生活習慣

fish_s.jpg魚・DHA/EPA魚に多く含まれるDHAやEPAなどのn-3多価不飽和脂肪酸には、抗酸化作用・抗炎症作用・神経細胞調節作用などがあり、DHA・EPAそのものや魚の摂取によりアルツハイマー病のリスクや認知機能の低下が減ること報告されています。
→魚を食べて認知症予防
→DHA・EPAのサプリメントで認知症予防かも


teapot_s.jpgお茶カテキン(緑茶)やテアフラビン(紅茶)などのポリフェノールには抗酸化作用があり、認知症を減らす効果が期待できます。ほうじ茶にはこの効果は期待できません。
特に緑茶にはアミノ酸であるテアニンがより多く含まれており、テアニンは認知機能を改善させ、さらに脳内の脳由来神経成長因子(BDNF)を脳内で増やすことより脳神経の成長を促し、しかも脳虚血から脳細胞を保護します。つまり、認知症の予防効果が期待できます。テアニンは安い緑茶に少なく高価な緑茶に多く入っていますし、サプリメントとして販売もされています。
お茶を飲んで認知症予防
→テアニンのサプリメントで認知症予防




apple_s.jpg果物・野菜
果物・野菜に多く含まれるポリフェノールやビタミン類には抗酸化作用があり、認知症の予防効果が期待できます。
→果物・野菜を沢山食べて認知症予防

ichou_s.jpgイチョウの葉のサプリメント
 イチョウの葉には、抗酸化作用があるとともに、血液を固まりにくくする作用があり、認知症予防に良いことが報告されています。特に脳血管性の認知症を予防する効果が期待できます。ただし、血を固まりにくくする薬を飲んでいる人は同時に飲まないでください。薬を飲んでいるときには、各主治医に相談してください。
→イチョウの葉サプリメントで認知症予防



補足)抗酸化作用:老化には「酸化」が大きく関与されていると考えられ、認知症においても酸化が影響していると考えられています。抗酸化作用を持つとされる飲食物は、認知症を防止する効果を持つと考えられます。


runner_s.jpg運動
運動をすると、脳内の脳由来神経成長因子(BDNF)を脳内で増やし脳神経の成長を促し、同時にアルツハイマー病の原因となるアミロイドβの沈着を防ぎ、認知症を予防します。
→適度な運動で認知症予防

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posted by とある精神科医 at 19:35| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする