2017年07月13日

双極性障害に抗うつ薬? 患者から専門医まで

 双極性障害は、平常気分でいられる期間がおよそ半分程度で、残りの期間を双極T型であれば躁や軽躁の3.5倍の期間を抑うつで過ごし(Judd et al., 2002)、双極U型であれば軽躁の38.7倍の期間を抑うつで過ごすといい(Judd et al., 2003)、抑うつ状態が非常に多い病気です。
 双極性障害であれば気分安定薬で治療が行われるはずですが、抑うつ状態が多いことから抗うつ薬を使いたくなるもの。さて、双極性障害に抗うつ薬を使っていいのでしょうか。

 双極性障害の患者に抗うつ薬で用いたとき、躁状態が生じること(いわゆる躁転)が増えることを心配する医療者多いもの。ただ、気分安定薬で治療しているのであれば、抗うつ薬を追加しても躁転が増えないとする見かたもあります(Tada et al., 2015)。ただ、それも薬によって違うようで、躁転の率はプラセボに比して、三環系抗うつ薬やSNRIでは1.8倍前後、その他の抗うつ薬でも1.6倍近くだったといい(Allain et al., 2017)、注意が必要です。
 双極性障害359名を調査したところ、抗うつ薬使用歴のある者うち10.6%に急速交代が生じ、抗うつ薬使用歴の無い者では2.3%しか急速交代が生じていなかったといい(Muraoka et al., 2016)、抗うつ薬は急速交代型への移行を招くことには注意が必要です。
 しかも、双極性障害を抗うつ薬で治療することに意味はないようです。気分安定薬で治療されている約360人の双極性障害の半年間経過を観たとき、抗うつ薬の併用で23.5%、プラセボの併用で27.3%が回復したといい、抗うつ薬併用の利点は認められなかったといいます(Sachs et al., 2007)。他にも、抗うつ薬の追加に効果は無かったとする報告はあります(Tada et al., 2015)。
 双極性障害への抗うつ薬の処方には「元気になりたい!/元気になってほしい!」という回復への思いはこめられていても、治療効果は無いというのが結論のようです。


双極性障害(やうつ病)の専門的な治療の理解のために『気分障害ハンドブック』をお読みください。
posted by ぷしこノート at 13:35| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月01日

精神医学を学ぶ人への推薦図書

精神医学を学ぶ上で有用な本を紹介いたします。ここでは主に精神科医を主な対象と設定し、(精神科に興味のある)学生、若手の精神科医、ある程度の経験年数のある精神科医の3段階に分けて★をつけましたので、参考にしていただければ幸いです。

なお、この記事は良書の紹介を目的としており、このページにおいてアフィリエイトの類は一切していないことを明記しておきます。



■統合失調症

統合失調症のみかた,治療のすすめかた -
統合失調症のみかた,治療のすすめかた -
『統合失調症のみかた、治療のすすめかた』中外医学社
★☆☆初期研修医・医学生
★★★若手精神科医
★★★ベテラン精神科医
統合失調症について、この一冊を読み通したら基本から専門的内容までわかる本……そんな本が日本に無いと気付き、私自身が書き上げました。「統合失調症の赤本」と覚えてください。ただ統合失調症の患者を前に薬を処方しているだけでは気づけない、本当に目指すべき道筋を明確にしめしたつもりです。この本を読めば、統合失調症の治療はもっと面白くなるはず。

過感受性精神病 治療抵抗性統合失調症の治療・予防法の追求 -
過感受性精神病 治療抵抗性統合失調症の治療・予防法の追求 -
『過感受性精神病』星和書店
☆☆☆初期研修医・医学生
★☆☆若手精神科医
★★☆ベテラン精神科医
日本の統合失調症治療は、多剤大量で治療されてきた(つい最近までの)過去があり、それがなぜ問題かを理解するのに有用な本です。小難しい本ですが大した量ではありません。統合失調症をよく診ることのある精神科医はぜひ理解しておくべき概念です(そして、統合失調症が沢山いる病棟の看護師も目を通しておくといいかもしれません……それには基本的な知識がある必要がありますが)。

統合失調症 -
統合失調症 -
『統合失調症』医学書院
☆☆☆ 初期研修医・医学生
★☆☆若手精神科医
★★★ベテラン精神科医
統合失調症について、非常に詳しく書かれた分厚い本。通読は非常に困難。何度も手に取って詳しく学ぶための本です。精神科医の本棚に一冊あるといいでしょう。


■気分障害(うつ病+双極性障害)
気分障害ハンドブック -
気分障害ハンドブック -
『気分障害ハンドブック』メディカルサイエンスインターナショナル
★☆☆ 初期研修医・医学生
★★★!若手精神科医
★★★!ベテラン精神科医
精神科の外来を訪れる最多は気分障害。そんなうつ病や双極性障害の診断や治療について解説された本です。抑うつ状態を診てなんとなく抗うつ薬を処方してみるだけの診療ではなく、きちんと診断し、きちんと治療を段階的に試みる考え方がわかりやすく解説されています。読みやすい魅力的な文章で書かれており、丸ごと一冊通読できる一冊といえます。精神科専門医の試験対策にもなります。「気分障害の赤本」と覚えてください。
若手の精神科医にも、ある程度の経験をすでに有している精神科医にもおすすめできます。精神科をしっかり学ぼうと思う研修医も、精神科研修中に読んでしまうといいかもしれません……何科に進んでも、必ずうつ病患者には常に出会うのですから。

気分障害 -
気分障害 -
『気分障害』医学書院
☆☆☆ 初期研修医・医学生
★☆☆若手精神科医
★★★ベテラン精神科医
気分障害について、非常に詳しく書かれた分厚い本。通読することは困難で、ある程度、気分障害について理解している人が、さらに詳しく学ぶための本です。精神科医の本棚に一冊あってほしい本です。

■不安障害
不安障害診療のすべて (精神科臨床エキスパート) -
不安障害診療のすべて (精神科臨床エキスパート) -
『不安障害診療のすべて』医学書院
☆☆☆初期研修医・医学生
★★★若手精神科医
★★☆ベテラン精神科医
パニック障害や全般性不安障害、分離不安などの様々な不安障害について解説されています。分厚いように見えて十分、通読してしまえる文章量ですし、気になった項目だけ読んでも参考になります。精神医療に携わっていれば不安障害に対応する局面は多く、そんなときにはこの一冊を読んでおくと自信をもって適切な医療を提供できるはず。医学生や研修医に買えとは言いませんが、精神科医であれば持っておきたい一冊です。


■精神科診断/診断基準
DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引 -
DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引 -
『DSM-5』医学書院
☆☆☆(必読)初期研修医・医学生
★★★(必携)若手精神科医
★★★(必携)ベテラン精神科医
精神医療に関わる上で絶対に避けて通れないのが精神科の診断基準であるDSM-5をここで挙げるのは当たり前すぎるかもしれません。それは診断の過程をアルゴリズムにしたものであると同時に、その精神障害の特徴を理解する上でも役立つものです。精神科に関わるのであれば必ず持っておくべき本。小さな「デスクトップリファレンス」と、解説がふんだんに盛り込まれ非常に分厚く大きな本があり、専門家であれば大きな方も持っておきたいものですが、まずは小さな方を入手することからでしょう。


語呂で覚える!DSM‐5 -
語呂で覚える!DSM‐5 -
『語呂で覚える!DSM-5』メディカルサイエンスインターナショナル
★★☆!初期研修医・医学生:
★★★!若手精神科医
★★★!ベテラン精神科医
診断基準のDSM-5だけでなく、精神科に関する物事がざっくり解説され、覚えるための語呂をたくさん紹介した本です。診断基準を本棚やポケットに入れておいては、臨床の場面では効率が悪く、基準が頭に入っていなければきちんと診察の際に情報を集めることも困難になるものです。また、語呂で覚えてしまえば、その障害について容易に理解が進むはず。
精神科医であればぜひ覚えてしまうべきであり、ベテラン精神科医もこれまでうろ覚えだった領域に挑戦してほしいものです。研修医や看護師、医療系の学生であれば、DSM-5そのものをめくるのも面倒なものであり、ざっくりと解説されたこの本がDSM-5そのものよりも大いに役立つはずでしょう(比較すれば価格も安上がりだし)。


精神科診断戦略: モリソン先生のDSM-5徹底攻略case130 -
精神科診断戦略: モリソン先生のDSM-5徹底攻略case130 -
『精神科診断戦略: モリソン先生のDSM-5徹底攻略』医学書院
★☆☆初期研修医・医学生
★★★若手精神科医
★★☆ベテラン精神科医
様々な精神障害について丁寧に解説されている。多くの症例が提示されており、読み物としても面白く、すべてを通読するのは大変でも、開いたページからついつい読み進んでしまえる魅力的な一冊。DSM-5には無味乾燥な基準しかありませんが、この本を手にすれば各精神障害が生き生きとイメージできるようになり、それぞれについてより詳しくなれることでしょう。原著は業界で非常に人気のある名著"DSM-5 Made Easy"。特に精神科医に(精神科に興味のある医学生や研修医にも)オススメの一冊。


■薬物療法
本当にわかる精神科の薬はじめの一歩〜疾患ごとの具体的な処方例で、薬物療法の考え方とコツ、治療経過に応じた対応が身につく! -
本当にわかる精神科の薬はじめの一歩〜疾患ごとの具体的な処方例で、薬物療法の考え方とコツ、治療経過に応じた対応が身につく! -
★☆☆初期研修医・医学生
★★☆若手精神科医
☆☆☆ベテラン精神科医
『本当にわかる精神科の薬はじめの一歩』羊土社
初期〜後期の研修医や学生が読むのには非常に良い一冊。非常に読みやすく、最初に理解すべきことに的を絞って書かれています。精神科に進む予定がない研修医も、精神科の研修中に読み通しておくと、将来きっと役に立つでしょう。


ストール精神薬理学エセンシャルズ 神経科学的基礎と応用 第4版 -
ストール精神薬理学エセンシャルズ 神経科学的基礎と応用 第4版 -
『ストール精神薬理学エセンシャルズ』メディカルサイエンスインターナショナル
☆☆☆初期研修医・医学生
★★☆若手精神科医
★★★ベテラン精神科医
向精神薬の薬理について詳細に書かれた分厚い本。薬理は非常に難しい領域ですが、それでもストール先生の手にかかればこれだけわかりやすくなるものです……それにしても難しいかも。初期研修医や医学生が手にするには無理があります。精神科の道に進むと決めた後期研修医は早いうちに持っておくべきですし、精神科医の道をずいぶんと進んできた医師も、さらに学びを深めるために持っておきたい本です。

今日の精神疾患治療指針 第2版 -
今日の精神疾患治療指針 第2版 -
『今日の精神疾患治療指針』医学書院
☆☆☆初期研修医・医学生
★★★若手精神科医
★★★ベテラン精神科医
様々な精神障害につき、診断や治療の具体的内容がまとめられた分厚い一冊。疑問に思ったとき、困ったときに開くと非常に助かります。

■症候学
精神症候学 -
精神症候学 -
『精神症候学』弘文堂
☆☆☆初期研修医・医学生
★★★若手精神科医
★★★ベテラン精神科医
精神科の道に進むと、症状ひとつ扱ういも難しい用語のオンパレードです。そんなとき、この一冊が本棚にあると、その用語が何を意味するのかや、あなたが見た患者の症状は何という専門用語で言い表したものかを学ぶことができます。丸ごと一冊をぐいぐいと読み進めるには無理がありますが、興味があった(または必要が生じた)ところから少しずつ読んでいくうちに、症状を言い表す専門用語に詳しくなれることでしょう。初期研修医や医学生は……買わないことでしょう。しかし、医局の本棚にこの本があったら手にとるといいでしょう。そして、精神科の道に進む者は早いうちに持っておくべき本です。

■頭部画像
脳単―ギリシャ語・ラテン語 (語源から覚える解剖学英単語集 (脳・神経編)) -
脳単―ギリシャ語・ラテン語 (語源から覚える解剖学英単語集 (脳・神経編)) -
『脳単』エヌ・ティー・エス
★★☆初期研修医・医学生
★★☆若手精神科医
★★☆ベテラン精神科医
精神医学では必ず脳の話が出てきます。脳の各部位の名称や簡単な説明が分かりやすい図とともに示されています。学術的な本ではありませんが、学ぶ腕では非常に良い参考書といえます。
posted by ぷしこノート at 15:00| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月29日

妊娠中のバルプロ酸

バルプロ酸は、気分安定薬や抗てんかん薬として臨床ではよく用いられる薬です。このバルプロ酸、妊婦にはオススメできません。

妊娠中に1,000mg以上のバルプロ酸を服用していると、そのときの児が3歳になったとき、IQが10以上低くなるといいます(Maedor et al., 2009)。このとき、低用量の低用量のバルプロ酸では低下は目立たず、カルバマゼピンの影響は少ないようであり、ラモトリギンの影響はほぼみられなかったといいます。

また、一般的には1万人に6人ほどの割合で生じる神経管閉鎖不全(二分脊椎や無脳症)が、妊娠第T期のバルプロ酸服用下で出生した児では1.5%に生じるといい(Lindhout & Schmidt, 1986)、バルプロ酸の使用で二分脊椎のリスクは12.7倍になるといいます(Jentink et al., 2010)。

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妊娠の可能性がある若年女性のバルプロ酸の使用は避けた方がよく、使用するとしても量は少ない方がいいようです。ただ、バルプロ酸の摂取で葉酸が低下するといい(Karabiber et al., 2003)、一般的に妊娠の際、葉酸を摂取していると二分脊椎のリスクは低下するといい(MRC Vitamin Study Research Group.1991)、もしバルプロ酸を使わざるをえないのであれば、前もって十分な葉酸サプリメントを併用しておくべきでしょう。


『気分障害ハンドブック』p.179-80でも、二分脊椎のリスクにつき扱われており、参考になります。バルプロ酸の二分脊椎のリスクは、精神科専門医試験にも繰り返し出題されている重要な事項です。

posted by ぷしこノート at 09:12| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月17日

心理教育の目的 医療系の学生からプロまで

心理教育とは、Andersonらにより『分裂病と家族』で提唱された、統合失調症につき患者本人や家族に説明するものから始まり、精神障害などの受容しにくい問題を持つ人たちに、正しい知識や情報を心理面への十分な配慮をしながら伝え、病気や障害の結果もたらされる諸問題・諸困難に対する対処方法を修得してもらい、主体的な療養生活を営めるよう援助する技法です(心理社会的援助プログラムガイドライン)。精神医療では、様々な精神障害が対象となりますが、やはり最もよく語られているのが統合失調症に対するもの。そんな心理教育の目的について、統合失調症を中心に挙げてみましょう。

【インフォームド・コンセントの一部として】
インフォームド・コンセントの要素、「医療者による説明」「患者の理解」「患者の自由意思による同意の決定」の3つのうち2つ、すなわち医療者が説明し患者に理解を得る点が心理教育に含まれています。

【治療への動機づけを強めるため】
患者さんも「薬を続けろ」と言われただけで、薬物治療を続けようと十分には思えないもの。なぜ薬を続けた方がいいのかを理解してこそ主体的に治療を継続できることでしょう。実際、心理教育を受けた人の方が、治療を適切に継続できていたといいます(Xia et al., 2011)。

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【病識を強めるため】
身体の病気と違い、精神障害はしばしば自分では病気について気づきにくくなるものです。自分の何が病気の症状なのかを知ることは大切なことです。また、病気について適切に知ることは自らの病気のスティグマを軽減するといいます(Uchino et al., 2012)。

【症状を外在化するため】
自らに起きる心の変化について、病気の症状と客観的に理解することを促しすことができます。「死にたい」と思うより「希死念慮が出た」と思える方が、「電波で命令されている」と思うより「幻聴が聴こえている」と思う方が、その症状の行動化などの問題を減らし、症状による苦痛を減らし、認知の変化の余地を与え、症状自体を軽くする可能性もあります。

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【再発/再入院を減らすため】
これまでに挙げた様々な要素による結果として、再発や再入院を減らすことができるといいます(Xia et al., 2011; Zhao et al., 2015)。


統合失調症について理解を深めるための専門書『統合失調症のみかた、治療のすすめかた』もどうぞよろしくお願いいたします!
統合失調症のみかた,治療のすすめかた -
統合失調症のみかた,治療のすすめかた -
posted by ぷしこノート at 15:28| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月16日

双極性障害の自殺リスク(プロ向き)

 双極性障害の人は、年に0.4%が自殺で亡くなるといい(Tondo et al., 2003)、一般人口の20-30倍の自殺リスクといい(Tondo et al., 2003; Pompili et al., 2013)、双極性障害の15-20%が最終的に自殺で亡くなるといいます(Pompili et al., 2013)。

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 自殺念慮はうつ病にも存在しますが、「自殺」「自殺企図」「希死念慮」のいずれも、うつ病よりも双極性障害の方が多く(Tondo et al., 2007)、自殺企図歴のある抑うつ状態の患者を診たとき、その7割は双極性障害といいます(Inoue et al., 2015)。

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 双極性障害は気分安定薬を用いた治療が重要なのは言うまでもありません。長期間のリチウムの使用は自殺リスクを5分の1に減らすといいます(Baldessarini et al., 2006)。それも、早くに気分安定薬による治療を開始した方が自殺リスクは少ないといいます(Altamura et al., 2010)。さらに、長期的なスパンだけでなく、短期間でも気分安定薬(リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピン)が自殺リスクを7分の1〜10分の1ほどに減らしたといい(Tsai et al., 2016)、水道水中のリチウム濃度が高いほど自殺率が低かったといい(Ohgami et al., 2009)、気分安定薬には双極性障害の治療効果とは別に、自殺リスクそのものを下げる力があるのかもしれません。過量服薬に及べばリチウム自体が致死的になることには注意が必要ですが、自殺リスクには積極的に気分安定薬の使用を検討すべきでしょう。

posted by ぷしこノート at 21:52| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月02日

神経性やせ症の身体症状

神経性やせ症(いわゆる拒食症)の人は、髪の毛が抜けやすくなりますが、同時にうぶ毛が増え、5αリダクターゼの活性低下が影響していると考えられています(Glorio et al., 2000
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神経性やせ症の人は、コレステロール値が高い傾向にあるといい、これは体重が回復した際には正常化するといいます(Matzkin et al., 2006)。koresute.jpg

神経性やせ症では、甲状腺ホルモンが低下しており(Smorawińska et al., 2003)、甲状腺自体が萎縮しているといいます(Støving et al., 2001)。
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posted by ぷしこノート at 17:49| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月27日

こころのバリアフリー宣言とは ブログで授業 看護学生向き

 精神に限らず様々な障害を持つ人が世の中に沢山いる中、障害者でも一般の人たちと同等の生活を送れるような社会にする「ノーマライゼーション」。精神障害におけるノーマライゼーションを実現すべく、厚労省から2004年に出されたのが「こころのバリアフリー宣言」です。その中心となる考えは「精神疾患への偏見をなくすための正しい理解の促進」です。

 というのも、精神障害者に対する否定的な見かたは残念ながら一般的に存在し(中村, 2001)、一般市民の抱く否定的な見かたが精神障害者の社会生活に悪影響を与え(山口ら, 2011)、ノーマライゼーションを困難なものとします。
 しかし、一般市民も精神障害について知ることで、精神障害に対する認識が改善するといいます(玉里&竹島, 1998)。

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 以上のように、こころのバリアフリー宣言により、精神障害に対する社会的な認識を改善させることが、精神障害者の社会生活を改善させノーマライゼーションをもたらすと考えられます。精神医療に関わる人、看護学生などは、きちんとこの概念を理解しておきましょう。

posted by ぷしこノート at 14:36| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月11日

むずむず脚症候群 学生から専門医まで

夜、眠るとすると足がムズムズして動かさずにいられなくなることがあり、これは「レストレスレッグス症候群」「むずむず脚症候群」と呼ばれ、この概念を1945年に初めて提唱したAnders Ekbomの名から「エクボン症候群/エクボム症候群」とも呼ばれます。その通り「足がムズムズする」が主訴の人もいますが、ただ「眠れない」とだけ不眠を訴える人の中にもレストレスレッグス症候群の人がいることも少なくありません。そして、中には「足に寄生虫がいる」と訴える皮膚寄生虫妄想の人もおり、寄生虫の証拠だといって皮膚のかけらや糸くずを(古くはマッチ箱などに入れて)持ってくることがあり「マッチ箱徴候MatchBox Sign」と呼ばれます(Bouree et al., 2007)。5%の人に生じるといい、年齢を経るごとに頻度は上がり、女性の方が多い可能性が指摘されています。

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脚のムズムズと言えば、似たものに錐体外路症状のひとつであるアカシジアという概念があります。どちらも足がムズムズして、足を動かさずにはいられなくなるものですが、レストレスレッグス症候群は決まって夜に生じるもので、アカシジアは抗精神病薬によって誘発され、その時間帯は夜に限らない点で異なります。
ドパミン神経系の機能低下で生じるとされ、夜にドパミン神経系の機能が低下することで夜に症状が出現するものと考えられています。レストレスレッグス症候群の人、睡眠中には約80%で、睡眠時周期性四肢運動が生じます。

レストレスレッグス症候群の多くは続発性で、その背景には身体的な問題や変化が存在します。葉酸欠乏やビタミンB12の欠乏、マグネシウムの欠乏、甲状腺機能低下、胃切除などが背景に存在することもありますが、最も代表的なのは腎機能の低下や妊娠、そして、鉄欠乏でしょう。
ドパミンはチロシンから作られますが、その酵素の補因子に鉄があり、ドパミン受容体にも鉄があり、鉄不足はドパミン神経系に影響を与えます。

腎機能低下でレストレスレッグス症候群は生じやすく、eGFRが60以上では2%以下、60未満で5-6%ほど、15未満では23%にレストレスレッグス症候群が生じます(Miklos et al., 2005)。腎臓から分泌されるエリスロポエチンが低下すると、肝臓に貯蔵された鉄の輸送を阻害するヘプシジンが増加します。

胃の切除で胃酸が減り、鉄の吸収が落ち、レストレスレッグス症候群が生じやすくなります。妊婦の4人に1人にレストレスレッグス症候群が生じるといい(『精神科診断戦略』)、妊娠による鉄や葉酸の消費が原因と考えられます。

レストレスレッグス症候群の治療は、フェリチンなどで鉄の状態を把握するなど背景に背景に存在する基礎疾患を確認し、その基礎疾患の治療が最優先です。そして、対症療法としてドパミン作動薬が第一選択薬とされ(『今日の精神疾患治療指針』)、L-dopa、ベンゾジアゼピンなどが用いられます。

「眠れない」と聞いたらレストレスレッグス症候群の可能性を考え、レストレスレッグス症候群を診たら身体的な背景の存在を考えるべきでしょう。

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2017年04月29日

うつ病への亜鉛サプリ 試験に出ない健康知識

 普通に日本で暮らしていれば不足することはそれほどはない亜鉛。しかし、そんな亜鉛もうつ病のときにはサプリメントで摂取した方がよさそうです。そんな亜鉛について解説しましょう。

 海馬細胞外で亜鉛濃度が増加するとグルタミン酸濃度が減少し、GABA濃度が増加し、亜鉛欠乏は視床下部下垂体副腎系を異常に亢進させ、ストレス感受性が増大し、うつ発症の一因になりうるといいます(『亜鉛の機能と健康』)。
 実際、うつ病患者は血中の亜鉛濃度が低かったといい(McLoughlin & Hodge, 1990; Siwek et al., 2010; Amani et al., 2010; Swardfager et al., 2013)、通常の抗うつ薬治療で難治の患者は亜鉛濃度が低い傾向にあり(Maes et al., 1997; Siwek et al., 2010)、うつ病が改善したときには亜鉛の濃度が改善していたといいます(McLoughlin & Hodge, 1990; Narang et al., 1991; Siwek et al., 2010; DiGirolamo et al., 2010)。
 
 亜鉛サプリメントがうつ病の補助療法として有効といいます(Nowak et al., 2003; Sowa-Kućma et al., 2008; Ranjbar et al., 2013)。よく「亜鉛を食事で補うとすれば?」と質問をされますが、亜鉛サプリメント1粒10〜15mg分は、牡蠣100gや豚レバー200g、アーモンド300gほどに相当します(簡単!栄養andカロリー計算)。毎日、牡蠣100gやレバー200gを食べるより、毎日一粒サプリメントを飲む方が現実的でしょう。薬物治療と並行して行える亜鉛の補充は、有害性が低く、(もし無効だったとしても)サプリメントが安価であり、うつ病の方には積極的に提案したい方法のひとつです。

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2017年04月20日

統合失調症 ブログで授業(プロ向け)

統合失調症について、精神科の医療従事者であれば、これらを知っておくと、少し理解が深まるかもしれません。

抗精神病薬を複数使用すると死亡リスクは「2.5倍」です。



統合失調症は自殺が多いことに要注意。




統合失調症に関係するパーソナリティ障害3つを理解しておきましょう!



持効性注射剤 Long Acting Injection:LAIの方が治療成績は良い傾向にあります。

posted by ぷしこノート at 13:49| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする