2017年03月20日

電気けいれん療法 ブログで授業(学生から精神科医まで)

統合失調症や気分障害(うつ病や双極性障害)に用いられる電気けいれん療法(ECT)について紹介しましょう。


動画での解説はこちらから。



電気けいれん療法の副作用を理解しておきましょう。




ECTを知らない人からすれば「そんなことして大丈夫?」と戸惑うかもしれません。「一般人は当たり前のようにECTは危険で効果がないと思っているが、精神科医はそれと同じくらい当たり前にのようにECTは安全で有効だと考えている」なんて書かれているように(気分障害ハンドブック)、精神科医からすればこの治療の死亡リスクは非常に低いものであり、精神障害を放置する方がずっと危ないことといえるでしょう。
その死亡リスクは5万回に一回(Kramer, 1999)や7万回に一回(Watts et al., 2011)と報告されています。特にリスクがあれば心配すべきですが、一般的な患者については計算できないほど低いリスクといえるでしょう。




電気けいれん療法が何度も繰り返し行われることがあり、その回数が三桁を越えると「大丈夫なのかな」と不安になるものです。しかし、実際には脳にダメージは無く(Devanand et la., 1994)、認知機能も下がりません(Devanand et al., 1991)。無駄な心配より、きちんと治療を続けることの方が大切です。




電気けいれん療法の際、気分安定薬の炭酸リチウムは中止しておきましょう(el-Malakh, 1988)。




電気けいれん療法が抑うつ状態に有効なのはよく知られたこと。そして、躁状態にも用いられる治療法です(Riis & Videbech, 2015)。ですから、単に気分を「あげる」というよりは「正常化する」というのが正しいかもしれません。




電気けいれん療法は、なぜ効くのでしょうか。

posted by ぷしこノート at 13:21| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月19日

抗うつ薬で困るプロドラッグ ブログで授業(プロ向き)

プロドラッグとは、それ自体には薬効が無く、代謝されることで薬効を持つようになる薬のことです。そんなプロドラッグの中、肝酵素チトクロームP450(以下、CYP)の2D6で代謝されて薬効が得られる薬としてタモキシフェンとトラマドールが挙げられます。

liver.png

タモキシフェンは乳癌の治療薬ですが、CYP2D6を阻害されると活性代謝物が極端に減ってしまい、乳癌の治療が成り立たなくなります。実際、CYP2D6を強力に阻害するパロキセチンの併用で、タモキシフェン治療中の乳癌患者の死亡リスクが上がったといいます(Kelly et al., 2010)。

疼痛に使用されるトラマドールも、CYP2D6を阻害されると疼痛を抑える活性代謝物が減ってしまいます。そのためトラマドールは、CYP2D6を強力に阻害するパロキセチンの併用により鎮痛効果を失うといいます(Laugesen et al., 2005)。そして、未変化体であるトラマドールそのものにセロトニン再取り込み阻害作用があり、パロキセチンの併用によりトラマドールの未変化体が過剰に蓄積しセロトニン症候群が生じた例の報告もあります(Park et al., 2014)。トラマドールの使用中にはパロキセチンを併用しないよう注意が必要です。

CYP2D6を強力に阻害するパロキセチンと、CYP2D6により活性が得られるプロドラッグであるタモキシフェンとトラマドールについて、精神科や癌の専門家は知っておくべきでしょう。

3分間で解説していみました。
タグ:うつ病
posted by ぷしこノート at 16:34| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月15日

気分障害の治療 ブログで授業(学生向き)

「気分障害」に含まれる「うつ病」と「双極性障害」の治療につき紹介しましょう。


さて問題です。 うつ病 に関係する神経伝達物質はどれ?
医学生、看護学生は正解して当然!……っていうか、誰でも当然?


もちろん正解はセロトニン。


うつ病と双極性障害、それぞれ何で治療したらいいでしょうか?
「症状に対応した薬」ではなく「病気に対応した薬」を学ぶことが重要です。



治療についての5分間レクチャーはこちら。



抗うつ薬といえばSSRIやSNRI。SSRIだけでも覚えてみましょう♪




双極性障害の治療薬である4つの気分安定薬は、「安定したらリッチにバカラ」で覚えるといいでしょう。
研修医や医学生は覚えておくべき。看護学生も最初の2つは覚えるべきでしょう。



気分安定薬について4分間で解説しました。



うつ病であればSSRIやSNRIなどの抗うつ薬による、双極性障害なら気分安定薬による治療が有用です。しかし、双極性障害なのに、抑うつ状態だからといって抗うつ薬が処方されがち……そんなことを一分間、無音の動画で解説してみました。




抗うつ薬や気分安定薬を覚えようと思ったら『語呂で覚える!DSM-5』。
語呂で覚える!DSM‐5 -
語呂で覚える!DSM‐5 -


気分障害を、より専門的に学びたい人は『気分障害ハンドブック』を!
気分障害ハンドブック -
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気分障害の薬物治療は、たびたび医療系の国家試験に出題されているので、医療系の学生さんは、よく学んでおきましょう。
SSRI/SNRI:うつ病・不安障害の治療薬 [医110][看94]
パロキセチン:抗うつ薬(SSRI)[医104,105,109]
フルボキサミン:抗うつ薬(SSRI)[医110]
スルピリド:抗うつ薬、高プロラクチン血症が多い抗精神病薬 [医100,101,109]
三環系抗うつ薬
イミプラミン [医104]
クロミプラミン [医105]
炭酸リチウム:気分安定薬 [医104,105,108,109,110][看87,93,94]
バルプロ酸:気分安定薬 [医105,108,109×2,110]


うつ病の対応について、動画で解説しました。看護の国家試験対策にはオススメ!
posted by ぷしこノート at 20:25| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月12日

気分障害 ブログで授業(学生向き)

「気分障害」に含まれる「うつ病」と「双極性障害」。医学生や看護学生などの医療系学生が理解しておくべき事項を解説したものをご紹介しましょう。


うつ病や双極性障害などの気分障害を語る上で色々と登場する専門用語。全体の理解のため、ざっくりと解説してみました。




いろんな気分障害を5分間で解説しました。


うつ病の症状について3分半で解説しました。



うつ病(や双極性障害の抑うつ状態)で生じやすい「心気妄想」「貧困妄想」「罪業妄想」は、まとめて「微小妄想」と呼ばれています。




認知症に見えるうつ病が「仮性認知症」です。



仮性認知症について、動画で詳しく解説しました。


精神症状ではなく身体症状を主訴に受診するのが「仮面うつ病」です。




妊婦の50%に抑うつが生じ、10%はうつ病 に該当するほどだといいます(精神科診断戦)。医療者が妊婦を診るときには抑うつがあって当たり前だと思うべきですし、周囲の人も意識しておくべきでしょう。






季節性うつ病というものも知っておきましょう。



秋〜冬に悪化する季節性うつ病は、高照度光療法の適応です。




「抑うつエピソード」や「躁病エピソード」の内容を覚えようと思ったら『語呂で覚える!DSM-5』。
語呂で覚える!DSM‐5 -
語呂で覚える!DSM‐5 -

気分障害を、より専門的に学びたい人は『気分障害ハンドブック』を!
気分障害ハンドブック -
気分障害ハンドブック -
posted by ぷしこノート at 16:12| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月11日

境界性パーソナリティ障害 ブログで授業

境界性パーソナリティ障害について少し、紹介してみましょう。

4分間の動画で、症状を紹介しましょう。


精神医療のプロであれば、以下のことも知っておきたいものです。

境界性パーソナリティ障害は自傷に及ぶことが多く、しばしば「死ぬ気がない 自傷」なんて言われることもあります。しかし、10%は最終的に自殺で亡くなることには知っておくべきでしょう(精神科診断戦略)。




2年も経てば1/4〜1/3が、4年も経てば1/3〜1/2が、診断基準を満たさない程度に改善するものです(Links et al., 1998; De Panfilis et al., 2011; Zanarini et al., 2003)。

posted by ぷしこノート at 23:38| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月10日

睡眠 ブログで授業(医学生から医療者まで)

睡眠に関する事項をいくつか紹介しておきましょう。

睡眠時無呼吸については知っておかなければいけません。






ナルコレプシーとは、急に眠り込み、感情の高ぶりで脱力する疾患。睡眠麻痺(金縛りのこと)と入眠時幻覚がよく生じるものです。
引用:語呂で覚える!DSM‐5


寝るときには体温を放散させることで眠りに就くものです。寝る1時間前の入浴は覚醒させるので避けるべきです(入るとしても40℃程度のぬるいお風呂)。1時間以上前に入浴して体を冷めてくる頃に入眠時間を迎えるといいでしょう。
グリシンは試験には出ない知識。




睡眠を6分間で紹介しました。
posted by ぷしこノート at 22:30| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月09日

うつ病の予後 ブログで授業(プロ向き)

「うつ病」とひとくくりで語られるその病気も、その経過は様々です。

精神病性の特徴、すなわち幻聴や妄想を伴う際には予後が不良な傾向にあるといいます(Maj, 1994)。若年発症と、60歳以降の発症のうつ病は慢性化のリスクが高いといいます(気分障害 p.193, Klerman & Weissman, 1989

うつ病に社交不安症が併存したとき、うつ病の持続や反復のリスクが2.3倍になるといい、自殺企図リスクは6.1倍になるといい、注意を要します(Stein, 2001)。他にも、不安障害がうつ病に併存することは多く、慢性化や自殺の可能性が高いといいます(精神科診断戦略 p.148)。

この項目は、また少しずつ加筆を重ねていく予定です。
posted by ぷしこノート at 13:36| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

正常圧水頭症 ブログで授業(医学生から精神科医まで)

認知症の一種、正常圧水頭症についてまとめてみました。

正常圧水頭症:NPHの三徴を覚えることから始めましょう。

正常圧水頭症(NPH)の三徴は、失禁+歩行障害+ #認知症 。 #医学生 #精神医学 #精神科

ぷしこノートさん(@psychonotejp)が投稿した写真 -


出典:Dr.Kのスーパーフレーズ


排尿障害は過活動性膀胱が生じることによるもので、頻尿や切迫性尿失禁が生じ、これは三徴の中で最も遅くに出現する傾向にあるといいます(新井, 2013; Mori, 2001)。



正常圧水頭症の画像上の特徴は、どんなものか理解しておきましょう。

#認知症 のひとつである正常圧水頭症。画像の特徴、 #医学生 は知っておくべき。 #精神医学 #精神科

ぷしこノートさん(@psychonotejp)が投稿した写真 -




正常圧水頭症をどう診断し、どう治療するのかも理解しておきましょう。




正常圧水頭症を2分半で理解する動画はこちらから。
タグ:認知症
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2017年03月08日

てんかんとうつ病 ブログで授業(プロ向け)

てんかん患者において見過ごされがちなうつ病。実際にはてんかん患者にはうつ病が一般の約2.8倍と多く、23%に存在し(Fiest et al., 2013)、てんかん患者の自殺率は一般に比べて22%高いといいます(Tian et al., 2016)。必要に応じて抗うつ薬による治療が行われるべきでしょう。

その際、薬の使い方に注意すべき点はあるのでしょうか。三環系抗うつ薬は、てんかん発作の頻度を上げるため、てんかん患者に用いられるべきではありませんが、SSRIやSNRIは安全に使用できると考えられます(Cardamone et al., 2013; Castaño-Monsalve et al., 2013]。SSRI/SNRIの中でも、bupropionとシタロプラムはけいれん発作がいくらか多い傾向ですが、他の新規抗うつ薬が使用された患者は、プラセボが使用された患者に比しててんかん発作が少なかったといいます(Alper et al., 2007)。

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ただ、抗うつ薬により低ナトリウム血症が生じることがあり(「抗うつ薬で低Na」)、けいれん発作を引き起こしうることには注意が必要でしょう。

抗うつ薬によるけいれん発作について(専4-53, 7-55)は精神科専門医試験で出題されています。

posted by ぷしこノート at 16:27| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月06日

ブログで授業「ナルコレプシー」

突然に眠り込む睡眠発作が特徴のナルコレプシーについて解説しましょう。

まずは、突然に眠り込む睡眠発作と情動脱力発作=カタプレキシーから。



カタプレキシーとカタレプシーは混同しやすいため、きちんと覚えておきましょう。



ナルコレプシーは、入眠時幻覚と睡眠麻痺も特徴です。



ナルコレプシーのDSM-5の診断基準を語呂で覚えておくといいでしょう。



ナルコレプシーを4分半の動画で解説しました。



医療者は、統合失調症の人にナルコレプシーが多いことも知っておくといいでしょう。

posted by ぷしこノート at 20:39| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする