2017年06月17日

心理教育の目的 医療系の学生からプロまで

心理教育とは、Andersonらにより『分裂病と家族』で提唱された、統合失調症につき患者本人や家族に説明するものから始まり、精神障害などの受容しにくい問題を持つ人たちに、正しい知識や情報を心理面への十分な配慮をしながら伝え、病気や障害の結果もたらされる諸問題・諸困難に対する対処方法を修得してもらい、主体的な療養生活を営めるよう援助する技法です(心理社会的援助プログラムガイドライン)。精神医療では、様々な精神障害が対象となりますが、やはり最もよく語られているのが統合失調症に対するもの。そんな心理教育の目的について、統合失調症を中心に挙げてみましょう。

【インフォームド・コンセントの一部として】
インフォームド・コンセントの要素、「医療者による説明」「患者の理解」「患者の自由意思による同意の決定」の3つのうち2つ、すなわち医療者が説明し患者に理解を得る点が心理教育に含まれています。

【治療への動機づけを強めるため】
患者さんも「薬を続けろ」と言われただけで、薬物治療を続けようと十分には思えないもの。なぜ薬を続けた方がいいのかを理解してこそ主体的に治療を継続できることでしょう。実際、心理教育を受けた人の方が、治療を適切に継続できていたといいます(Xia et al., 2011)。

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【病識を強めるため】
身体の病気と違い、精神障害はしばしば自分では病気について気づきにくくなるものです。自分の何が病気の症状なのかを知ることは大切なことです。また、病気について適切に知ることは自らの病気のスティグマを軽減するといいます(Uchino et al., 2012)。

【症状を外在化するため】
自らに起きる心の変化について、病気の症状と客観的に理解することを促しすことができます。「死にたい」と思うより「希死念慮が出た」と思える方が、「電波で命令されている」と思うより「幻聴が聴こえている」と思う方が、その症状の行動化などの問題を減らし、症状による苦痛を減らし、認知の変化の余地を与え、症状自体を軽くする可能性もあります。

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【再発/再入院を減らすため】
これまでに挙げた様々な要素による結果として、再発や再入院を減らすことができるといいます(Xia et al., 2011; Zhao et al., 2015)。


統合失調症について理解を深めるための専門書『統合失調症のみかた、治療のすすめかた』もどうぞよろしくお願いいたします!
統合失調症のみかた,治療のすすめかた -
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posted by ぷしこノート at 15:28| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月27日

こころのバリアフリー宣言とは ブログで授業 看護学生向き

 精神に限らず様々な障害を持つ人が世の中に沢山いる中、障害者でも一般の人たちと同等の生活を送れるような社会にする「ノーマライゼーション」。精神障害におけるノーマライゼーションを実現すべく、厚労省から2004年に出されたのが「こころのバリアフリー宣言」です。その中心となる考えは「精神疾患への偏見をなくすための正しい理解の促進」です。

 というのも、精神障害者に対する否定的な見かたは残念ながら一般的に存在し(中村, 2001)、一般市民の抱く否定的な見かたが精神障害者の社会生活に悪影響を与え(山口ら, 2011)、ノーマライゼーションを困難なものとします。
 しかし、一般市民も精神障害について知ることで、精神障害に対する認識が改善するといいます(玉里&竹島, 1998)。

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 以上のように、こころのバリアフリー宣言により、精神障害に対する社会的な認識を改善させることが、精神障害者の社会生活を改善させノーマライゼーションをもたらすと考えられます。精神医療に関わる人、看護学生などは、きちんとこの概念を理解しておきましょう。

posted by ぷしこノート at 14:36| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月11日

むずむず脚症候群 学生から専門医まで

夜、眠るとすると足がムズムズして動かさずにいられなくなることがあり、これは「レストレスレッグス症候群」「むずむず脚症候群」と呼ばれ、この概念を1945年に初めて提唱したAnders Ekbomの名から「エクボン症候群/エクボム症候群」とも呼ばれます。その通り「足がムズムズする」が主訴の人もいますが、ただ「眠れない」とだけ不眠を訴える人の中にもレストレスレッグス症候群の人がいることも少なくありません。そして、中には「足に寄生虫がいる」と訴える皮膚寄生虫妄想の人もおり、寄生虫の証拠だといって皮膚のかけらや糸くずを(古くはマッチ箱などに入れて)持ってくることがあり「マッチ箱徴候MatchBox Sign」と呼ばれます(Bouree et al., 2007)。5%の人に生じるといい、年齢を経るごとに頻度は上がり、女性の方が多い可能性が指摘されています。

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脚のムズムズと言えば、似たものに錐体外路症状のひとつであるアカシジアという概念があります。どちらも足がムズムズして、足を動かさずにはいられなくなるものですが、レストレスレッグス症候群は決まって夜に生じるもので、アカシジアは抗精神病薬によって誘発され、その時間帯は夜に限らない点で異なります。
ドパミン神経系の機能低下で生じるとされ、夜にドパミン神経系の機能が低下することで夜に症状が出現するものと考えられています。レストレスレッグス症候群の人、睡眠中には約80%で、睡眠時周期性四肢運動が生じます。

レストレスレッグス症候群の多くは続発性で、その背景には身体的な問題や変化が存在します。葉酸欠乏やビタミンB12の欠乏、マグネシウムの欠乏、甲状腺機能低下、胃切除などが背景に存在することもありますが、最も代表的なのは腎機能の低下や妊娠、そして、鉄欠乏でしょう。
ドパミンはチロシンから作られますが、その酵素の補因子に鉄があり、ドパミン受容体にも鉄があり、鉄不足はドパミン神経系に影響を与えます。

腎機能低下でレストレスレッグス症候群は生じやすく、eGFRが60以上では2%以下、60未満で5-6%ほど、15未満では23%にレストレスレッグス症候群が生じます(Miklos et al., 2005)。腎臓から分泌されるエリスロポエチンが低下すると、肝臓に貯蔵された鉄の輸送を阻害するヘプシジンが増加します。

胃の切除で胃酸が減り、鉄の吸収が落ち、レストレスレッグス症候群が生じやすくなります。妊婦の4人に1人にレストレスレッグス症候群が生じるといい(『精神科診断戦略』)、妊娠による鉄や葉酸の消費が原因と考えられます。

レストレスレッグス症候群の治療は、フェリチンなどで鉄の状態を把握するなど背景に背景に存在する基礎疾患を確認し、その基礎疾患の治療が最優先です。そして、対症療法としてドパミン作動薬が第一選択薬とされ(『今日の精神疾患治療指針』)、L-dopa、ベンゾジアゼピンなどが用いられます。

「眠れない」と聞いたらレストレスレッグス症候群の可能性を考え、レストレスレッグス症候群を診たら身体的な背景の存在を考えるべきでしょう。

ラベル:精神医学 睡眠
posted by ぷしこノート at 22:05| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月29日

うつ病への亜鉛サプリ 試験に出ない健康知識

 普通に日本で暮らしていれば不足することはそれほどはない亜鉛。しかし、そんな亜鉛もうつ病のときにはサプリメントで摂取した方がよさそうです。そんな亜鉛について解説しましょう。

 海馬細胞外で亜鉛濃度が増加するとグルタミン酸濃度が減少し、GABA濃度が増加し、亜鉛欠乏は視床下部下垂体副腎系を異常に亢進させ、ストレス感受性が増大し、うつ発症の一因になりうるといいます(『亜鉛の機能と健康』)。
 実際、うつ病患者は血中の亜鉛濃度が低かったといい(McLoughlin & Hodge, 1990; Siwek et al., 2010; Amani et al., 2010; Swardfager et al., 2013)、通常の抗うつ薬治療で難治の患者は亜鉛濃度が低い傾向にあり(Maes et al., 1997; Siwek et al., 2010)、うつ病が改善したときには亜鉛の濃度が改善していたといいます(McLoughlin & Hodge, 1990; Narang et al., 1991; Siwek et al., 2010; DiGirolamo et al., 2010)。
 
 亜鉛サプリメントがうつ病の補助療法として有効といいます(Nowak et al., 2003; Sowa-Kućma et al., 2008; Ranjbar et al., 2013)。よく「亜鉛を食事で補うとすれば?」と質問をされますが、亜鉛サプリメント1粒10〜15mg分は、牡蠣100gや豚レバー200g、アーモンド300gほどに相当します(簡単!栄養andカロリー計算)。毎日、牡蠣100gやレバー200gを食べるより、毎日一粒サプリメントを飲む方が現実的でしょう。薬物治療と並行して行える亜鉛の補充は、有害性が低く、(もし無効だったとしても)サプリメントが安価であり、うつ病の方には積極的に提案したい方法のひとつです。

posted by ぷしこノート at 10:50| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月20日

統合失調症 ブログで授業(プロ向け)

統合失調症について、精神科の医療従事者であれば、これらを知っておくと、少し理解が深まるかもしれません。

抗精神病薬を複数使用すると死亡リスクは「2.5倍」です。



統合失調症は自殺が多いことに要注意。




統合失調症に関係するパーソナリティ障害3つを理解しておきましょう!



持効性注射剤 Long Acting Injection:LAIの方が治療成績は良い傾向にあります。

posted by ぷしこノート at 13:49| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする