2017年03月20日

世界の神医学の歴史 ブログで授業(学生向き)

幻覚や妄想などを主体とした精神障害は、古くは悪霊や動物などが憑いたものと考えられ、ときには信仰の対象になることもありました。

ヒポクラテス (Hippocrates, 紀元前4-5世紀)が、すべての病気を血液、粘液、黒胆汁(こくたんじゅう)、黄胆汁(おうたんじゅう)のバランスの乱れと解釈する医学、体液説を提唱するようになり、精神障害も医学の対象とされるようになりました。うつ病を扱う際に「メランコリア」と呼ばれる概念が今でも扱われていますが(DSM-5)、皮膚の黒い色素がメラトニンと呼ばれるように「メラ」は黒を意味し、コレステロールの「コレ」と同じく「コリア」は胆汁を意味し、うつ病は黒胆汁によって生じる病気と考えられていました。てんかんは「神聖病」と考えられていました。
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中世には、主にヨーロッパで魔女狩り Witch-Huntが始まり、数万人が殺害され、その8割が女性だったといいます。その中には精神病者も多数含まれていただろうことは想像にかたくありません。
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十字軍遠征で生じた傷病者に対応する施設としてパリで神の家 オテル・デユー Hotel Dieuが作られました。そして、魔女狩りが終息した後、1660年頃より精神障害者を受け入れ始めたのです……そう、精神病者が再び医学の対象とされるようになったのです。
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精神障害者は収容され自由を奪われていた中、ピネル(Philippe Pinel, 1745-1826)が精神障害者に対する人道的な扱いの実践「鎖からの解放」の運動を起こしました。
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アメリカではビアーズ(Clifford W. Beers,1876-1943)が精神保健福祉について活動を展開していました。彼自身、就職後3年でうつ病に陥り自殺企図に及び精神病院に入院しました。当時の精神病院で粗暴で高圧的な患者の扱いを見て、退院後に手記を書き1908年に『わが魂にあうまで』を出版しました。
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歴史の中から精神医学を見直すと、今の精神医学も少し違って見えてくるかもしれませんね。
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電気けいれん療法 ブログで授業(学生から精神科医まで)

統合失調症や気分障害(うつ病や双極性障害)に用いられる電気けいれん療法(ECT)について紹介しましょう。


動画での解説はこちらから。



電気けいれん療法の副作用を理解しておきましょう。




ECTを知らない人からすれば「そんなことして大丈夫?」と戸惑うかもしれません。「一般人は当たり前のようにECTは危険で効果がないと思っているが、精神科医はそれと同じくらい当たり前にのようにECTは安全で有効だと考えている」なんて書かれているように(気分障害ハンドブック)、精神科医からすればこの治療の死亡リスクは非常に低いものであり、精神障害を放置する方がずっと危ないことといえるでしょう。
その死亡リスクは5万回に一回(Kramer, 1999)や7万回に一回(Watts et al., 2011)と報告されています。特にリスクがあれば心配すべきですが、一般的な患者については計算できないほど低いリスクといえるでしょう。




電気けいれん療法が何度も繰り返し行われることがあり、その回数が三桁を越えると「大丈夫なのかな」と不安になるものです。しかし、実際には脳にダメージは無く(Devanand et la., 1994)、認知機能も下がりません(Devanand et al., 1991)。無駄な心配より、きちんと治療を続けることの方が大切です。




電気けいれん療法の際、気分安定薬の炭酸リチウムは中止しておきましょう(el-Malakh, 1988)。




電気けいれん療法が抑うつ状態に有効なのはよく知られたこと。そして、躁状態にも用いられる治療法です(Riis & Videbech, 2015)。ですから、単に気分を「あげる」というよりは「正常化する」というのが正しいかもしれません。




電気けいれん療法は、なぜ効くのでしょうか。

posted by ぷしこノート at 13:21| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月19日

抗うつ薬で困るプロドラッグ ブログで授業(プロ向き)

プロドラッグとは、それ自体には薬効が無く、代謝されることで薬効を持つようになる薬のことです。そんなプロドラッグの中、肝酵素チトクロームP450(以下、CYP)の2D6で代謝されて薬効が得られる薬としてタモキシフェンとトラマドールが挙げられます。

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タモキシフェンは乳癌の治療薬ですが、CYP2D6を阻害されると活性代謝物が極端に減ってしまい、乳癌の治療が成り立たなくなります。実際、CYP2D6を強力に阻害するパロキセチンの併用で、タモキシフェン治療中の乳癌患者の死亡リスクが上がったといいます(Kelly et al., 2010)。

疼痛に使用されるトラマドールも、CYP2D6を阻害されると疼痛を抑える活性代謝物が減ってしまいます。そのためトラマドールは、CYP2D6を強力に阻害するパロキセチンの併用により鎮痛効果を失うといいます(Laugesen et al., 2005)。そして、未変化体であるトラマドールそのものにセロトニン再取り込み阻害作用があり、パロキセチンの併用によりトラマドールの未変化体が過剰に蓄積しセロトニン症候群が生じた例の報告もあります(Park et al., 2014)。トラマドールの使用中にはパロキセチンを併用しないよう注意が必要です。

CYP2D6を強力に阻害するパロキセチンと、CYP2D6により活性が得られるプロドラッグであるタモキシフェンとトラマドールについて、精神科や癌の専門家は知っておくべきでしょう。

3分間で解説していみました。
ラベル:うつ病
posted by ぷしこノート at 16:34| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月15日

気分障害の治療 ブログで授業(学生向き)

「気分障害」に含まれる「うつ病」と「双極性障害」の治療につき紹介しましょう。


さて問題です。 うつ病 に関係する神経伝達物質はどれ?
医学生、看護学生は正解して当然!……っていうか、誰でも当然?


もちろん正解はセロトニン。


うつ病と双極性障害、それぞれ何で治療したらいいでしょうか?
「症状に対応した薬」ではなく「病気に対応した薬」を学ぶことが重要です。



治療についての5分間レクチャーはこちら。



抗うつ薬といえばSSRIやSNRI。SSRIだけでも覚えてみましょう♪




双極性障害の治療薬である4つの気分安定薬は、「安定したらリッチにバカラ」で覚えるといいでしょう。
研修医や医学生は覚えておくべき。看護学生も最初の2つは覚えるべきでしょう。



気分安定薬について4分間で解説しました。



うつ病であればSSRIやSNRIなどの抗うつ薬による、双極性障害なら気分安定薬による治療が有用です。しかし、双極性障害なのに、抑うつ状態だからといって抗うつ薬が処方されがち……そんなことを一分間、無音の動画で解説してみました。




抗うつ薬や気分安定薬を覚えようと思ったら『語呂で覚える!DSM-5』。
語呂で覚える!DSM‐5 -
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気分障害を、より専門的に学びたい人は『気分障害ハンドブック』を!
気分障害ハンドブック -
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気分障害の薬物治療は、たびたび医療系の国家試験に出題されているので、医療系の学生さんは、よく学んでおきましょう。
SSRI/SNRI:うつ病・不安障害の治療薬 [医110][看94]
パロキセチン:抗うつ薬(SSRI)[医104,105,109]
フルボキサミン:抗うつ薬(SSRI)[医110]
スルピリド:抗うつ薬、高プロラクチン血症が多い抗精神病薬 [医100,101,109]
三環系抗うつ薬
イミプラミン [医104]
クロミプラミン [医105]
炭酸リチウム:気分安定薬 [医104,105,108,109,110][看87,93,94]
バルプロ酸:気分安定薬 [医105,108,109×2,110]


うつ病の対応について、動画で解説しました。看護の国家試験対策にはオススメ!
posted by ぷしこノート at 20:25| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月12日

気分障害 ブログで授業(学生向き)

「気分障害」に含まれる「うつ病」と「双極性障害」。医学生や看護学生などの医療系学生が理解しておくべき事項を解説したものをご紹介しましょう。


うつ病や双極性障害などの気分障害を語る上で色々と登場する専門用語。全体の理解のため、ざっくりと解説してみました。




いろんな気分障害を5分間で解説しました。


うつ病の症状について3分半で解説しました。



うつ病(や双極性障害の抑うつ状態)で生じやすい「心気妄想」「貧困妄想」「罪業妄想」は、まとめて「微小妄想」と呼ばれています。




認知症に見えるうつ病が「仮性認知症」です。



仮性認知症について、動画で詳しく解説しました。


精神症状ではなく身体症状を主訴に受診するのが「仮面うつ病」です。




妊婦の50%に抑うつが生じ、10%はうつ病 に該当するほどだといいます(精神科診断戦)。医療者が妊婦を診るときには抑うつがあって当たり前だと思うべきですし、周囲の人も意識しておくべきでしょう。






季節性うつ病というものも知っておきましょう。



秋〜冬に悪化する季節性うつ病は、高照度光療法の適応です。




「抑うつエピソード」や「躁病エピソード」の内容を覚えようと思ったら『語呂で覚える!DSM-5』。
語呂で覚える!DSM‐5 -
語呂で覚える!DSM‐5 -

気分障害を、より専門的に学びたい人は『気分障害ハンドブック』を!
気分障害ハンドブック -
気分障害ハンドブック -
posted by ぷしこノート at 16:12| 精神科ブログ講義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする